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「スペシャルティコーヒー」って、誰がどうやって決めてるの?

スペシャルティコーヒーのアイキャッチ画像 Diary
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スペシャルティコーヒーってよく聞くけど、どう決まってるの?

「この豆、スペシャルティコーヒーなんですよ」

カフェの店員さんにそう言われると、なんだかすごく特別な気がして、ちょっと得した気分になりますよね。

でも、ふと思いませんか?「スペシャルティって、具体的に何が“スペシャル”なの?」って。

実はこの「スペシャルティコーヒー」、めちゃくちゃ厳しい評価をくぐり抜けた“選ばれし豆”ではあるんですが…

実のところ、「これがスペシャルティだ!」という明確な統一基準って、ないんです。

え、どういうこと?

そんな声が聞こえてきそうなので、今回はこの「スペシャルティコーヒーの基準」について、カジュアルに、でもしっかり掘り下げていきます!

そもそも「スペシャルティコーヒー」って何?

まずは基本のおさらいから。

スペシャルティコーヒーとは、ざっくり言えば「品質が非常に高いコーヒー豆」のこと。

だけどそれだけじゃありません。

実は、次のような要素がすべて満たされていないと、「スペシャルティ」とは呼べないんです。

☑️ スペシャルティとされる主なポイント

  • 産地や農園が明確にトレーサブル(追跡可能)
  • 収穫・精製のプロセスが丁寧
  • 欠点豆が極めて少ない
  • 味わいに個性や特徴があり、バランスが良い
  • カップテイスティングで高評価を得ている

つまり、「この豆はどこで、どんな人が、どうやって育てたか」が明確で、「飲んでおいしい」と認められないとダメなんです。

「じゃあ、その評価って誰が決めてるの?」

ここで登場するのが、SCAAスコア

SCAAとは、Specialty Coffee Association of America(アメリカスペシャルティコーヒー協会)の略で、世界的に知られるスペシャルティコーヒーの評価団体です。

今はヨーロッパの団体と合併して「SCA(Specialty Coffee Association)」になっていますが、SCAAスコアという呼び名はいまだによく使われます。

このスコアこそ、実質的に「スペシャルティコーヒーかどうか」を決める重要な指標になっているんです。

(ここで買えます!)コロンビア ウイラ スプレモ SCAA 86.42点のスペシャルティコーヒー

SCAAスコアとは?ざっくり解説!

SCAAスコアは、コーヒーの味や品質を評価するための“点数表”のようなもの。

評価は以下の項目で行われます:

  • フレーバー(風味)
  • アフターテイスト(後味)
  • 酸味の質
  • ボディ(口当たり)
  • バランス
  • クリーンカップ(雑味のなさ)
  • 甘み
  • 一貫性
  • 全体的な印象(オーバーオール)
  • 欠点の有無

それぞれの項目を10点満点で評価し、合計100点満点。

このうち、80点以上を獲得したコーヒーだけが「スペシャルティコーヒー」として扱われる、というのが“実質的なルール”になっています。

実は「明確な基準はない」ってどういうこと?

ここでちょっと不思議に思いませんか?

「じゃあ、80点以上っていうハッキリした基準があるなら、“明確なルール”があるってことじゃないの?」

はい、ここが少しややこしいところ。

確かにSCAAスコア80点以上が目安にはなっているけど、これは“世界共通の法的な定義”ではないんです。

つまり、「この豆はSCAAスコアで78点だったけど、ウチではスペシャルティって呼んでるよ〜」みたいなことも、できちゃう。

つまり、

スペシャルティコーヒーには、明確で強制力のある国際的な定義は存在しない。だけど、SCAAスコアが“実質的な基準”として世界中で使われている。

というのが、正直なところなんです。

スペシャルティと認められるまでの流れ

さて、じゃあその80点って、どうやって決まるの?

ここからはちょっと専門的だけど、流れを簡単に紹介します。

1. 生豆のチェック(グレーディング)

まず、焙煎前のコーヒー豆(生豆)を調べて、「欠点豆」がどれくらいあるかをチェック。

石や発酵豆、カビ豆などが多いと、それだけで評価が落ちてしまいます。

2. 焙煎と抽出

次に、豆を適切に焙煎して、決められた方法でコーヒーを抽出。

3. カッピング(テイスティング)

そして、プロのカッパー(評価者)が、香りや味、バランス、甘みなどを慎重にチェックしていきます。

この時に先ほどのSCAAスコアで点数をつけます。

このスコアが80点を超えていれば、「おおっ!これはスペシャルティだ!」となるわけですね。

なぜSCAAスコアが“指標”として機能しているの?

繰り返しになりますが、SCAAスコアは絶対的な法律や義務ではありません。

でも、なぜこれが世界中のロースターやバイヤー、農園の間で「スペシャルティの基準」として機能しているのかというと…

✔ 標準化された評価軸があるから

→ 誰が見てもある程度同じ判断ができる

✔ プロのトレーニングで一致した味覚基準があるから

→ カッピング評価者は世界共通の基準を学んでいる

✔ 販売価格や信用にも関わるから

→ 「この豆はSCAAスコア86点です」と言われると、バイヤーが安心する

…というように、業界全体が「このルールに乗っかってる」状態なんです。

「スペシャルティ」は誰のためのもの?

ところで、そもそもスペシャルティって誰のためにあると思いますか?

それは…

  • おいしいコーヒーを飲みたい消費者
  • 高品質な豆を正当な価格で評価されたい生産者
  • 高品質な豆を提供したいロースターやバリスタ

つまり、コーヒーに関わるすべての人の“信頼のものさし”なんですね。

だからこそ、「明確な法的基準はないけど、SCAAスコアを軸に評価しよう」という“合意”ができているわけです。

まとめ:スペシャルティの基準は「明確じゃない」けど、ちゃんとある。

  • スペシャルティコーヒーには、法律で定まった明確な国際基準はありません
  • でも、SCAAスコア80点以上という“業界内の共通ルール”が、実質的な基準として存在します。
  • このスコアは、味・香り・クリーンさ・甘みなどをプロが総合的に評価して決められるもの。
  • 最終的には「消費者に高品質なコーヒーを届けたい」という想いが、スペシャルティという考え方の根底にあります。

「スペシャルティコーヒー」って、ただの“高級豆”じゃないんです。

それは、農園の努力、バイヤーの選定、ロースターの技、そしてバリスタの腕前、すべてがかみ合って初めて成立する、いわば“物語のある一杯”。

次に「この豆、スペシャルティですよ」と言われたら、

その豆の旅路や背景を、少し思い浮かべてみてください。

きっと、味わいが変わるはずです。

(ご紹介 スペシャルティコーヒーをここで買えます!)

グアテマラSHB アンティグア パストレス Qグレード(SCAAスコア 84.25点

マンデリン・トゥルーブルーSG (SCAA 85点

その他にも、多数取り揃えてある販売サイトなのでいろいろ探してみてください!

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